【イントゥ・ザ・ワイルド】を観た感想
誰だって、生きていれば悩んだり、人間関係や社会に嫌気が差すこともあると思います。
すべてを投げ出して、1人でどこかへ旅に行きたいなんて思う人もいるでしょう。
そんな時に決まって観たくなるこの作品は、私にとって最も大切な映画のひとつ。
1人旅の楽しさと自然の中でたった1人で生きていくことの厳しさを疑似体験しながら、人生の価値や幸福の意味などを考えさせられ、自分を見つめ直すきっかけになる。それがイントゥ・ザ・ワイルドという映画です。
歳を重ねながら繰り返し観るたびに、得られるものが増えていく、人生そのもののような深みをこの映画は持っています。
この作品のあらすじ

この映画は実話を元にした作品です。
主人公クリスは裕福な過程に生まれ育ち、大学を優秀な成績で卒業、周囲の人間から見れば何不自由なく生きている完璧な人間です。
しかし、お金や物が溢れる生活や社会に疑問や不満を抱いていたクリスは、高校を卒業すると同時に突然旅に出ます。
クリスは貯金を全額寄付し、手元に残った紙幣と身分証を燃やして、そして自分の名前すらも捨て去り、たった1人で遥か北のアラスカを目指します。
この作品の見どころ

この映画ではクリスの旅を通じて自然の美しさと残酷さ、人間の優しさや孤独といった感情がとても丁寧に描かれています。
クリスがシカを銃で仕留めようとする時、シカの澄んだ瞳を見てためらってしまうシーンや、せっかく仕留めたシカに虫が湧いてしまうシーンでは、人間という生き物の不完全さや無力さを思い知らされました。
この作品で描かれる残酷とも言えるリアリティは、「生きる」ということはどういうことなのかと私たちに問いかけてくるようです。
【イントゥ・ザ・ワイルド】の名ゼリフ・名言

幸福が現実となるのは、それを誰かと分かち合った時だ
これは物語のクライマックスで登場する言葉です。
この言葉には人間の幸せのすべてが詰まっているように感じます。
ラストシーンまでのストーリーが丁寧に描かれているからこそ、物語を振り返ると強烈なメッセージとして心に突き刺さります。
この言葉に辿り着いたクリスの気持ちを考えると、何とも言えない想いに胸が締め付けられます。
ぜひ映画を観て味わってほしいと思います。
1人になりたい、逃げ出したいあなたに観てほしい
この映画は大衆向けの派手な映画ではありませんし、救いのないストーリーだという人もいます。
しかし私はとても価値のある映画だと思います。
私にとっては好きな映画というより、面白い映画というより、大切な映画。
この映画を観ると、自分も1人旅をしたような気持ちになります。
日々の生活の中で、人間関係や社会に疲れて逃げ出したいと思ったり、生き方に迷ってしまうこともあるでしょう。
イントゥ・ザ・ワイルドはそんな人に観てほしい映画なのです。
作品情報
原題 | Into the Wild |
製作年 | 2007年 |
製作国 | アメリカ |
配給 | スタイルジャム |
上映時間 | 148分 |
監督/脚本 | ショーン・ペン |
出演 | エミール・ハーシュ / クリストファー・マッカンドレス
マーシャ・ゲイ・ハーデン / ビリー・マッカンドレス ウィリアム・ハート / ウォルト・マッカンドレス ジェナ・マローン / カリーン・マッカンドレス キャサリン・キーナー / ジャン・バレス ヴィンス・ヴォーン / ウェイン・ウェスターバーグ クリステン・スチュワート / トレイシー ハル・ホルブルック / ロン・フランツ ブライアン・ディアカー / レイニー ザック・ガリフィアナキス / ケヴィン |
音楽 |
マイケル・ブルック
カーキ・キング エディ・ヴェダー |
受賞歴 | ゴールデン・グローブ賞 : 歌曲賞「Guaranteed」
パームスプリングス国際映画祭 : 監督賞(ショーン・ペン)、ライジングスター賞(エミール・ハーシュ) |