『シンデレラ』や『美女と野獣』、『ダンボ』など、実写化の勢いが止まらないディズニーアニメシリーズ。ついに歴代ディズニーアニメの中でもトップレベルの人気作品、『アラジン』の実写化が実現!
製作陣には、『シャーロック・ホームズ』や『キング・アーサー』などのヒット作で知られ、壮大なアクションを得意とするガイ・リッチー監督や、ディズニー音楽の歴史を作ってきたアラン・メンケンが『ラ・ラ・ランド』や『グレイテストショーマン』の音楽チームを引き連れて担当するなど、多くの巨匠が名を連ねています。
世界的人気を誇るキャラクター、ランプの精ジーニー役には『メン・イン・ブラック』シリーズでおなじみのウィル・スミスが、そして日本語吹き替え役にはオリジナル版の声優も担当した山寺宏一さんがキャスティングされ、ファンには嬉しい仕上がりとなっています。
アニメ映画版のストーリーやキャラクター設定の改変などで賛否両論となっているものの、公開から半月で興行収入38億円を突破!さらにその翌月には100億円を超えるという快挙を成し遂げており、過去に大ヒットを記録している『美女と野獣』を超える人気となっています。
もくじ
実写版「アラジン」を観た感想

正直、「また実写化~?」と少々飽きていた私。
しかも前広告から察するに、アニメ映画版と違ってヒロインであるジャスミンがツンケンしていない!キャラクター設定アレンジしたな!?このやろう。と、例に漏れずアンチ改変だったんですが、
……実写化するなら観たい。
ということで素直に劇場に観に行きました!
結果は……いいじゃん!
魔法の絨毯や変幻自在に姿を変え飛び回るジーニー、そしてジーニーが使う夢のような「魔法」。ふんだんに盛り込まれたファンタジー要素はクオリティの高い映像技術でイメージ以上の良さだったし、
何よりウィル・スミスがかなりのハマり役!
そして、気がかりだったジャスミンの人物像。
実写版では、ストーリー全体がジャスミンを中心に現代向けにアレンジされているのですが、そこに女性を応援するようなメッセージ性が詰め込まれていて、ただのエンタメ映画にとどまらない、新しい作品となっていました!
あらすじ

舞台は王都アグラバー。
優しく勇敢な ”ダイヤモンドの心“ を持ちながらも、スラム街で暮らす貧しい青年アラジンは、ここではない本当の自分の居場所を求めていた。
ある日、市場で盗人と間違われていた美女を救い、恋におちてしまうアラジン。しかしその美女は王宮から抜け出していたジャスミン王女だった。
ジャスミンは政略結婚を強いられ、代わる代わる王子に求婚される毎日に嫌気がさし逃げ出していたのだ。
本当は国王になり、愛する国を自らの手で守りたいジャスミンは、アラジンと同じように自身の居場所を探していたのだった。

身分格差の恋に悩むアラジンは、アグラバー乗っ取りを画策する国務大臣ジャファーの甘い誘いに乗り、「魔法のランプ」を手に入れようと危険が待ちかまえる禁断の洞窟に足を踏み入れる。
様々な危険を乗り越えやっとの思いでランプを手に入れるが、中から突然宇宙一の魔力を持つというランプの精、ジーニーが現れる。
ジーニーの力で3つの願いを叶える事ができると聞いたアラジン。さっそく魔法の力で王子となりジャスミンへ近づこうとするが、魔法のランプを狙うジャファーの魔の手が待ち構えているのだった。
アニメ映画版と実写版の違い
1995年公開のアニメ映画版は、 『白雪姫』や『リトルマーメイド』など、それまでクラシックな印象が強かったアニメーションシリーズから一変し、当時の“今っぽさ”が詰め込まれ人気を博しました。
そういった現代感を重視しているからか、実写版では現代ならではのメッセージ性が盛り込まれ、そのため多くのアレンジが設定に加えられています。
ジャスミンのキャラクター像

宮殿の外の世界を知らない気の強い王女様。というイメージはそのままに、“世間知らずな女の子”から、“教養と自立心のある女性”という現代的な女性像に。
また、アグラバーの法律では禁止されている「女性国王」を目指していたり、アニメ映画版では触れられない母親のエピソードが登場するなど、より設定が深くなっています。
ジャスミンの侍女、ダリアという存在

アニメ映画版のジャスミンは、宮殿の外に一歩も出た事がない自身のことを「まるで囚われの身」と表現します。 外の世界から断絶された暮らしを表現するためか、侍女などの召使いは登場せず、父である国王とジャファーの他に会話をするのはほとんどトラのラジャーだけ。
実写版では、そんなジャスミンに親友のようによりそう侍女、ダリアが登場します。
ノリがよくおてんばなダリアは、ジーニーと一緒に作品の盛り上げ役として重要なポジションを担っています。
ジャファーが国務大臣になる前

実写版ではジャファーの盗人であった過去が明らかになります。
また、一国の乗っ取りを企てているジャファーは、国務大臣という2番手に甘んじている事にひどくコンプレックスを抱えています。
これらは、同じく盗人であり自身の真実の居場所を探しているアラジンとの共通点。
2人はこの共通点を通し、理想の自分の追い方について陰と陽のような位置関係になっています。
その他、曲の歌詞や細かなセリフがアニメ映画版と違う!と否定的な声も多いようですが、
個人的にはアレンジが作品に新しい解釈を持たせてくれていて好きでした!
特にジャスミンとダリアは、頑張る女性たちを励ましてくれる存在として人気がありそう。
実写版「アラジン」の名曲&名シーン
“スピーチレス” / ジャスミン
法律で国王になれない、そして政略結婚に翻弄される1人の女性として、発言権のない事に対する思いを叫ぶように歌い上げる一曲。実写版ジャスミンならではの名曲です。
“ア・ホール・ニュー・ワールド” / アラジン&ジャスミン
アカデミー賞やゴールデングローブ賞も自称しているこの一曲は、今や世界的な名曲。
空飛ぶ絨毯に乗って真っ白な雲の上を飛んだり、星空が映る水面を低空飛行したりと、とてもロマンチック。
“フレンド・ライク・ミー” / ジーニー
アニメ映画版ではジーニーの自己紹介シーンとしてキャラクターの濃さを爆発させますが、実写版でもそのパワーは健在。楽しい楽曲に合わせて次々と魔法を使う映像は、アニメーションからCGに生まれ変わっていて見応えあり!
“アリ王子のお通り” / ジーニー
ジーニーの魔法で王子となったアラジンが、ジャスミンのいる宮殿へ大名行列。豪華絢爛な献上品や、それらを持ち歌い踊る大勢の召使いたちが現れます。
アニメ映画版よりさらに衣装が豪華になっているのでさすが行列も華やか!色とりどりの衣装をまとった召使い達が一糸乱れぬ動きで踊るシーンは圧巻!
こんな人に見てほしい
ディズニー好きの人はもちろん、実写化された事でディズニー映画に興味がなかった人でも楽しめるようになったと思います。
そんな中でも、こんな人には絶対におすすめ!
旅行が好きな人

気軽に中東の空気が味わえるファンタジー映画ってなかなか無いので貴重!
褐色肌オンリーのキャスティングに、細部まで造りこまれた異国情緒あふれるアグラバーの街並み。
細かな路地裏やカラフルな衣装を着た住人たちを見ていると本当に旅に来た気分です。
自分の気持ちをうまく伝えられない人

第2の主人公とも言える存在感のジャスミン。ジャスミンの理想を阻むものは、法律や政治的発言権のない女性という立場。
アラジンとはまた違う、女性特有の悩みを抱える様子をみれば、自分と重なる!と思う人も多いのではないでしょうか?
ジャスミンの歌う“スピーチレス”を聞けば、そんなあなたも勇気をもらえるはずです。
まとめ
ディズニー映画の実写化は、思い出の詰まったオリジナル作品のシナリオや設定がアレンジされる事で否定的な声が上がりやすく、正直私も作品を観るまでは不満気味でした。
でも、実際に観れば感動!
制作陣の愛情が込められた完成度の高い作品によって、また新たな魅力に出会えるはずです。
作品情報
発表年 | 2019年 |
製作国 | アメリカ |
上映時間 | 128分 |
監督 | ガイ・リッチー |
脚本 | ジョン・オーガスト / ガイ・リッチー |
配給 | ディズニー |
音楽 | アラン・メンケン |
出演 | メナ・スマード : アラジン
ナオミ・スコット : ジャスミン ウィル・スミス : ジーニー マーワン・ケンザリ : ジャファー ナビド・ネガーバン : サルタン国王 ナシム・ペドラド : ダリア |
吹き替え | 中村倫也 : アラジン
木下晴香 : ジャスミン 山寺宏一 : ジーニー 北村一輝 : ジャファー 菅生隆之 : サルタン国王 沢城みゆき : ダリア |